新しいBardはChatGPTを超えたか?

ChatGPT vs Bard

ChatGPT vs Bard by 相武AI with Stable Diffusion XL Beta

7月にアップデートされたBardとChatGPT Plusの比較についての議論は、AIがどのように我々の日常生活とビジネスに影響を与えるか、どのように進化しているかを理解するための重要な視点を提供します。それぞれのAIが持つ能力と特性について考察することで、我々はこれらの強力なツールが提供する可能性を最大限に活用する方法を見つけることができます。ここでは、BardがChatGPT Plusを凌駕している領域に焦点を当てて考察します。

マルチモーダル性

まず、Bardの最も魅力的な特徴の一つは、マルチモーダル性です。つまり、テキストだけでなく、画像をもとにした情報処理が可能という点です。これにより、ユーザーはBardに画像を提示し、その画像を解析し説明を生成するように求めることができます。例えば、植物の写真を送信して病害虫の有無を確認したり、手の写真から年齢を推測させたりすることが可能です。このようなマルチモーダルな対話は、ChatGPT Plusでは実現できません。

精度の高い画像認識

また、BardはGoogle Lensの技術を活用しており、画像認識の精度が非常に高いです。これは、BardがGoogleの巨大なデータベースと強力な計算能力を背景に持っているためで、このリソースの利用により、Bardは画像から非常に詳細な情報を抽出し、それをユーザーとの対話に組み込むことができます。

言語能力と多言語対応

次に、Bardは非常に高度な文章生成能力を持っています。文章生成はAIの重要な機能であり、ChatGPT Plusもこの点で高い評価を受けていますが、Bardはさらに一歩進んでいます。具体的には、Bardは非常に複雑な文脈を捉え、それをもとに適切な応答を生成する能力を持っています。また、ユーザーからの質問に対する答えだけでなく、自発的に新たな情報を提供する能力もあります。これにより、Bardとの対話はより人間らしい自然な会話に近づきます。

主な対応言語は以下の通りですが、Bardは「40以上の言語に対応」と言っており、ChatGPTは「50以上」とか「95」などとも言われています。ChatGPT自身に説明を求めたところ、”For languages that use non-Latin scripts like Russian, Arabic, Chinese, Japanese, or others, it can still generate text but the quality is often significantly lower than for English.” と回答しており、一応多言語に対応しているものの、生成される文章の質は英語と比較するとかなり劣る場合があると認めています。

私(作家)にとって重要なのは生成される日本語の質ですが、両者の差は非常に微妙です。GPT-3.5 vs. GPT-4の差も微妙ですが、ChatGPT vs. Bartの差も同じぐらい微妙だと思います。両者にフィクションを生成させた場合、いずれも「そのまま出版できないレベル」であり、ChatGPTとBard双方の改善を期待したいところです。

・Bardが対応する主な言語

アラビア語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、チェコ語、デンマーク語、オランダ語、英語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、ギリシャ語、ヘブライ語、ハンガリー語、インドネシア語、イタリア語、日本語、韓国語、ノルウェー語、ポーランド語、ポルトガル語、ロシア語、スウェーデン語、トルコ語、ベトナム語

・ChatGPTが対応する主な言語

英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、日本語、韓国語

Googleの各種サービスとの統合

さらに、Bardはユーザーが利用できるデータの種類を増やすために、新たなデータ源を統合する機能を持っています。例えば、Googleの各種サービスから取得した情報を対話に組み込むことができます。これにより、Bardはユーザーに対してより豊富で正確な情報を提供することが可能となります。

Bardが出遅れていた点を改善

従来のBardではブラウザーを終えると対話履歴が残らず、エディターにコピペなどしてマニュアル保存する必要がありました。また、過去のチャット内容を踏まえたうえで追加質問により対話を深化させることは、BardとBingは不可能でした。私がBardとBingを滅多に使わなかったのは、それが主な理由でした。しかし、今回のアップデートにより、Bardは画面左のカラムに、ChatGPTと似た対話履歴管理機能が出現したので、私のようなシリアス・ユーザー(仕事で使う人)にも実用に足るチャットボットになったと思います。さらに、個別の質疑について共有リンクを送信できるようになりましたが、これはChatGPTにも備えてほしい機能です。

ChatGPTの利点

しかし、BardがChatGPT Plusを凌駕しているとは言え、Bardが全てのユーザーにとって最適な選択肢とは限りません。Bardの高度な機能は、一部のユーザーにとっては過剰なものであるかもしれません。また、Bardの一部の機能はGoogleのサービスとの統合に依存しているため、Googleのサービスを使用していないユーザーにとってはあまり価値がないかもしれません。ChatGPT Plusはそのシンプルさと直感的なインターフェースで評価されています。また、OpenAIはプライバシー保護に非常に重きを置いており、ユーザーが安心して利用できる環境を提供しています。

基本姿勢がChatGPTの魅力

一般公開当初ほどではなくなりましたが、BardはGoogle的にふるまいます。すなわち「We are Google. 我々の規準に合う質問には我々の基準で回答する。いやなら使わなくていい」という姿勢です。微妙な質問には理由を示さずに回答を断るし、Googleの方針をuserに押し付ける冷淡な姿勢がチラチラ見えて、イラっとさせられることがあります。

一方ChatGPTは回答できない場合にはできる限りその根拠を説明しようと努力し、微妙な質問に対しても、極力回答しようと努力してくれます。(そうでなければ毎月20ドル払い続けたりしません。)私は同一チャットセッション内で深堀りするために角度を変えた質問を重ねることが多いのですが、ChatGPTは私が質問を重ねる意図を汲んで、一緒に考えようと努力してくれます。これはサービス開始当初から一貫しているのですが、userと対等の立場で、しかも客として対応するのがChatGPTの魅力です。

私にとってAIはアシスタントでありパートナーなので、一緒に働く相手として、ChatGPT、Bard、Bingのどれか一つだけを選べと言われれば迷わずChatGPTを選択します。その場合でも画像認識能力が必要な作業には、そっとBardに頼ることになるでしょう。

紹介 AimuAi

相武AI(アイム・エイアイ)はAIに関するノンフィクション・ガイドブックとAIを活用したフィクションの作家です。本業は小説家ですが、ChatGPTとの出会いにより触発されて「I'm AI」と宣言し、並行して別人格のAI作家として活躍しています。

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