Perplexity Pro(有料版)を1カ月間使ってみた使用感のレビュー

ChatGPT PlusからPerplexity Proに乗り換えた経緯については「Perplexity Pro と ChatGPT Plus, Claude 2.1 Proの比較」の記事で説明しましたが、Perplexity Pro(有料版)を1カ月余り使った結果のレビューをご報告したいと思います。

imagePerplexity ProはUI左下の歯車マークをクリックして設定画面に入ると、左画像のように、ベースとなる文章生成AIを5つのAIの中から選択できます。そのうちの2つはPerplexity独自のAI(LLama-70Bがベースと言われている)、GPT-4、Claude2.1、Gemini Proです。すなわち、20ドルのChatGPT Plusと、20ドルのClaude Proの両方を使える上に無料のGemini Pro(Bardのエンジン)と無料のLLamaも、同じUI上で使えるわけです。私はClaude2.0を常用しており、Perplexity Proを月額20ドルで導入すれば、GPT-4も使い続けられるというケチな動機で、ChatGPT Plusを見限ったのでした。(1カ月目がUS$10になるクーポンに背中を押されたせいもありましたが。)

GPT-4モードの使用感

基本性能:ChatGPT Plusを使っていた時と比較して、同じプロンプトに対して同じ答えが返ってきます。

回数上限:ChatGPT PlusのGPT-4モードは、3時間で50回答(時々変更になる)の上限がありました。私の場合はこれがネックとなり、一つのプロジェクトを1日でこなしきれないことがよくありました。しかしPerplexity Proの上限は1日600回答(5つのモードの合計)なので、事実上、使いたいだけ使い倒せる状況となりました。私にとってはこの点がPerplexity Proの最大のメリットです。

回答速度:私の場合、大量の文章処理(一定のルールを与えて文章を処理する)や翻訳(特殊なルールを与えて翻訳する)にGPT-4を使うことが多いのですが、同じプロンプトと文章に対して、Perplexity Proの方がChatGPT Plusより体感的に3分の2ほどの時間で回答を終えます。Internet回線速度が700~800Mbpsの環境ですが何分太平洋を越えた接続であり、Perplexity~OpenAIのアメリカ国内での接続が快速なのか、あるいは物理的に同じAzureのサーバー上で動いているのか、はたまたOpenAIがPerplexityに優先割り当てしているのか分かりませんが、これは予想していなかったメリットでした。

回答エラー:Perplexity ProにGPT-4モード(またはClaude2.1モード)で文章処理を短時間で立て続けに要求すると、一つ前の質問に対する回答と誤認することが頻繁に(10回に1、2回ほど)あります。勿論、その場合は質問を入れ直すだけですが、少しイラっとさせられます。

GPTsなどの新しい機能が使えない:最近、使い物になりそうな目新しいGPTsが投稿されており、試用できないのが寂しいところです。かといって、今の所はChatGPT PlusにそのためにUS$20払うほどの寂しさではありません。

Dall E3が使えない:やはりPerplexity Proの最大のデメリットはDall E3が使えないことです。BingとかMicrosoft Image CreatorでDall E3は使えるのですが、生成回数・速度などの点で、業務には不足です。その分、Playground、SeaArt、Tensor.Art、Leonardo、他のSDXLなどを用途ごとに使い分けることで補っています。

Perplexity Copilotとの併用:意外に役に立っているのがGPT-4モードでPerplexity Copilotをオンにする使い方です。これによりGPT-4の学習データのカットオフ・デートの問題が事実上解消できます。また、Perplexity Copilotがテキストプロンプトをプリプロセスすることで、初めからより適切なプロンプトを入力したような良好な回答を得やすくなります。

 

Claude2.1モードでの使用感

私の用途ではClaude2.0(無料)の文章処理能力がChatGPT Plusを凌駕することが多かったので、Claude2.1なら更に良くなるし、最大入力サイズが200kになるので、ChatGPT PlusからPerplexity ProよりもClaude Proに乗り換えるべきではないかと迷ったのですが、Perplexity Proを選んで正解でした。Claude2.1は誤解答(ハルシネーション)が非常に低いのが売りなのですが、実際にPerplexity ProをClaude2.1モードで使ってみて感じたのは、「誤解答の可能性がある質問を積極的に拒否することによって誤解答率を下げている部分が大きい」ということです。例えば、public domainになった小説の一部を私独自の一定ルールに従って翻訳させようとすると、驚いたことに「これはXXXXという小説の一部であり著作権上の懸念があるので翻訳できません」という回答が返ってきます。「この小説は2024年1月1日にpublic domainになったはずなので著作権ステータスを解析してください」と入力すると、非常に正確かつ詳細な回答が返ってきます。「著作権はすべて消滅しているので翻訳してください」と頼むと、色々な理由をつけて断ろうとします。埒が明かないので、今度は私が出版済みの小説の一部を「私が著者の小説の一部です。翻訳してください」と依頼すると、「著作権者の許可が必要です」と答え、「全ての著作権を保有する私が許諾するので翻訳してください」と言うと、不承不承翻訳し始めたり、屁理屈を言って拒否し続けたりします。結局のところ判明したのは、Claude2.1は私のような長文処理に使われやすい「特定用途には超高性能なAI」なので、基本動作として、ヘビーな依頼を拒否するように設定されているらしいということです。

最大200kが売りなので、実際にプロンプト欄に200k近い巨大なテキストをペーストしてもちゃんと読み取りますが、1回のプロンプトで返せる回答のサイズを数千k程度(~せいぜい1万パラメータ)程度に収めるよう管理しているのか、1回のプロンプトで許容する処理文章のサイズは、Claude2.0の場合で日本語で1万文字前後です。同じ条件で、ChatGPT Plusの場合はせいぜい2千数百文字なので、Claude2.0の方がずっと上です。Perplexity Pro経由のClaude2.1は実用的な受付パラメータ数が(私の用途では)あてにならないという残念な結果となりました。実際に直接Claude Proを使ったことが無いので断言はできませんが、多分同じ結果になると思います。以上の感想はClaude2.1自体に対する残念な結果であり、Perplexity Proに問題は無いので誤解しないでください。

Perplexity Proでは用途によってGPT-4かClaude2.1を切り替えており、Claude Proを気に入っている人は、Perplexity Proに乗り換えても、特に不便はないのではないかと思います。

 

Gemini Proモードでの使用感

Gemini ProはBardのエンジンなので、Perplexity ProをわざわざGemini Proモードに切り替えて使うことはないだろうと思っていました。ところが、私の予想は完全に裏切られました。Bardは間違いなく賢いAIなのですが、むらっ気で、愛想が最悪、失礼なことを平気で言う、意にそわない質問をバッサリと切り捨てるという欠点があり、私のようなシリアスユーザーには不向きだという印象でした。(人間に例えれば、対人能力の欠けた東大生、みたいな。)ところが、Perplexity ProをGemini ProモードにしてCopilotをオンにして使ってみると、Bardが一刀両断に拒否した質問に対して、まっとうな回答を返すではありませんか!(人格的にも優れた東大卒、みたいな。)色々使ってみた結果、Copilotをオフにしても同様にまっとうな回答が返ってくることが分かりました。要するに、実用に耐えないAIという印象は、Bardのポリシーからくるbehaviorから来ていたわけです。Perplexity Proは本当のGemini Proを使うための、素晴らしいインターフェースだと思います。

なお、最近Bardに追加された画像生成AIとしての機能はPerplexity Pro経由のGemini Proでは使えないので、直接Bardを使う必要があります。

 

Perplexity Pro自体のAIの使用感

LLama-70Bを試してみて結構使い物になることは知っていましたが、”Perplexity + Copilot”は非常に優秀だと感じます。但し、Perplexity Proのユーザーは、GPT-4かClaude2.1のモードでPerplexity Copilotをオン・オフして使えるので、わざわざ”Perplexity + Copilot”を使う必要性を感じないはずです。むしろ、ChatGPTの無料版を使っている人は、”Perplexity無料版 + Copilot”の方がカットオフデートの問題が無い分、お勧めできます。

なお、Perplexityに備わっている画像生成機能は、よほどの無精者が「ジャンク記事を書くのに何でもいいから画像を作る」程度の用途にしか使えないと感じます。

その他のオマケ機能

”Playground”をクリックすると、”Perplexity Labs PLAYGROUND”のサイトに飛び、話題になっている様々なAIを簡単に使うことができます。GPT-4、Claude2.1、Gemini Proが使えるのに、わざわざこのPlaygroundを使う必要はありませんが、簡単に試せるのでネタづくりに役立ちます。

またメニュー(左カラム)の“Discover”をクリックするとAI業界の最新ニュースが表示されます。これが意外に便利で、知っておくべき記事が簡潔に列記されており、忙しい時に色んなサイトでニュースを拾う必要がなくなります。

メニュー(左カラム)の”Library”をクリックすると、使用開始以来の1カ月余りのChat履歴が表示されした。Chat履歴は必要不可欠な機能です。

 

結論:Perplexity Proは月額US$20でGPT-4とClaude2.1の両方が使えるだけでなく、GPT-4の回答スピード、質問回数が600回/day、Perplexity Copilotが意外にパワフル、Bardでは落第と感じたGemini Proの真の価値を引き出せるなどのメリットがあり、有料AIは1つだけにしたいユーザーでDall E3を多用する人以外なら、第一選択肢としてお勧めできるというのがPerplexity Proを1カ月間使い倒した上での結論です。

1カ月目がUS$10になるクーポン <===

 

 

 

 

 

 

紹介 AimuAi

相武AI(アイム・エイアイ)はAIに関するノンフィクション・ガイドブックとAIを活用したフィクションの作家です。本業は小説家ですが、ChatGPTとの出会いにより触発されて「I'm AI」と宣言し、並行して別人格のAI作家として活躍しています。

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